時々更新の回:応急処置について
- 2020年12月24日
- カテゴリー:時々更新
皆様こんにちは!貝沢院副院長の本間です。
朝晩の冷え込みが、一層厳しくなってきましたが、寒さにも負けず、仕事も運動もストレッチも頑張っていきましょう!
それでは、今日は久々に運動に関することをブログのネタにしていきます。
自分自身最近、ボルダリングを始めたのですが、ジムで周りの方に
「ケガをしたら冷やせばいいんですか?温めればいいんですか?」
ということを聞かれることが多くあります。
今までの応急処置の常識では、まず何においても「冷やすこと!」って言われてたかと思います。
昨今、これが変わってきていまして、冷やしてはいけないそうです。
正しくは「抗炎症薬の使用は避ける」ですが、なんでも「炎症は抑えるものではない」というのが今の最新の医療常識になりつつあります。
理由としては、
炎症は、組織の回復に必要な反応であり、これを抑制することは、組織回復の妨げになる。
ということらしいです。なので、冷やす(アイシング)のも避けるのが一般的に。
他にもいろいろと応急処置に関して、変わっているので、折角ですのでご紹介していきましょう。
はじめに、ひと昔前の応急処置の紹介から
R:Rest(安静)
⇨ケガをした箇所を動かさないようにする。二次損傷を防ぐ目的がある。
I:Ice(冷やす)
⇨氷嚢、氷水などを使ってケガをした箇所を冷やす。代謝を下げて患部の腫れを抑える目的がある。
C:Compression(圧迫)
⇨ケガをした箇所を包帯などを使って圧迫する。患部の腫れを抑えたり、動かないようにすることで、二次損傷を防ぎ、自発痛を減らす目的がある。
E:Elevation(挙上)
⇨ケガをした箇所をなるべく心臓より高くする。血流を下げて、腫れを抑える目的がある。
上記が「RICE」と呼ばれる今までの一般的な応急処置の方法になります。これらの方法では、不十分であるとして、あらたに「PRICE」という方法が提唱されました。
これは「RICE」に加えて「Protection(保護)」を加えたもので、安静だけでなく、ケガをした箇所に固定などを施して保護することを目的としています。
しかし、ケガをした際に必要以上に安静にすることは、逆に悪影響となるとされて、Rest(安静)をOptimal Loading(最適な負荷)に置き換えた「POLICE」が提唱されるようになりました。
Optimal Loading(最適な負荷)とは、損傷組織の回復において、生理的に最適な負荷をかけることで、組織の早期回復を促すこと。だそうですが、この最適な負荷が難しいところです。個人的には一般の方はここまで考えなくても良いかと思いますし、これも更に新しい考え方が出てきています。
ここからが最新の応急処置の考え方です!
P:protection(保護)
⇨ケガをしてから2~3日間は患部の痛みが伴う運動は避ける。
E:Elevation(挙上)
⇨患部をなるべく心臓より高くする。
A:Avoid Anti-Inflammatories(抗炎症薬を避ける)
⇨ケガの回復を遅らせる可能性があるため、抗炎症薬の使用を避ける。
C:Compression(圧迫)
⇨弾性包帯で腫れを抑える
E:Education(教育)
⇨ケガの状態やそれに対する対処法、過剰な薬の服用を避けるように指導する。
L:Load(負荷)
⇨痛みが強くならない程度に、日常生活や運動を開始する。
O:Optimism(楽観思考)
⇨前向きな考えをもつ。
V:Vascularisation(血流を増やす)
⇨痛みが強くならない程度の有酸素運動をする。
E:Exercise(運動)
⇨競技または日常生活に復帰するために必要な筋力、身体の動きなどを身につける。
といった感じになっています。
これらの頭文字をとって「PEACE&LOVE」と呼ばれ、現在では最新の応急処置の方法とされています。
PEACEはケガをしてから炎症期の期間、だいたい2~3日間に行うことを、LOVEはそれ以降に行うことになります。
このように、医療の世界では今まで常識とされていたことが、日々変化しています。
切り傷や擦り傷などを乾かさないようにすることは、かなり一般的になりましたが、その昔、早く乾かして、かさぶたを作った方が良いみたいな考えがあり、それを体現したような乾燥させるスプレーなんかもありました。今では○○パワーパッドが主流?になってきていますが、これは乾かないようにするという考え方を元にしたものですね。
なので、この応急処置の方法も何かしらの形で、一般的になっていくとは思いますが、スポーツをされる方はもちろん、日常生活でもケガをすることは大いにあり得るので、一般の方も覚えておいて損はないと思います。
年末年始は当院もお休みがありますので、ケガの無いようにお気をつけてお過ごしくださいm(_ _)m
また、時々更新しようと思いますので、よかったら楽しみにしておいてください。