今週の1冊:メモの魔力 前田裕二著
- 2021年03月02日
- カテゴリー:本の紹介
今週紹介する本は、SHOWROOMの代表の前田裕二さんが書いた「メモの魔力」です。
◆「記録」ではなく「知的生産」のためのメモ
「どうしてそんなにメモをとるんですか?」
「そんなに書くことってありますか?」
この質問は、数日に一回のペースで、必ず前田さんが質問されるそうです。
365日、とにかくおびただしい量のメモを取っています。
メモにこだわってきた、前田さんのメモ術が余すことなく、この本には書かれています。
まずは「『記録』ではなく『知的生産』のためのメモを取る」ということです。
メモには、2種類あります。
1つは「記録のためのメモ」
これは多くの人にとって馴染みのあるメモで、学校の授業やミーティングでの内容など、誰かが言ったことや覚えておかなければいけないことを、忘れないようにするためのメモで、「備忘録」のためのメモです。
これに対して、2つ目のメモが「知的生産のためのメモ」です。
例えば、子供がお母さんに買い物を頼まれたとき、買いたいものをスマホや紙にメモしておきます。
これは「記録のためのメモ」です。
極論すると、ロボットにもできることです。
情報をただ記録するだけなら、コンピューターが得意とすることでしょう。
しかし、私たちは人間です。
「人間にしかできないこと」に集中するために、メモを活用してほしいのです。
新しいアイデアや付加価値を自ら生み出すことを、強く意識してメモを書き始めてみてください。
世界が全く変わって見えてくるそうです。
メモの魔力のメモでは「ファクト⇒抽象化⇒転用」の順で書き込んでいきます。
・ファクト:どこかで見聞きした客観的な事実や、自分が感じた具体的な事実
・抽象化:事実からわかる、他に応用できる気づき、法則、特徴などの要素
・転用:抽象化したことを、応用したり、実際のアクションに落とし込む
ノートは見開きで使い半分に線を引きます。
左ページに「日付」「タイトル」「ファクト」
右ページには「抽象化」「転用」を書きます。
◆メモによって鍛えられる5つのスキル
- ①アイデアを生み出せるようになる
- ②情報を「素通り」しなくなる
- ③相手の「より深い話」聞き出せる
- ④話の骨組みがわかるようになる
- ⑤曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる
ただし、ここで一番大事なのは「どんなフォーマットを使うか」ではなく、根底にある「メモを取る姿勢」です。
何かの目的を持って、日々あらゆる情報に対して、毛穴むき出しの状態でいることができるかどうかや、身の回りのあらゆる情報にアンテナを張り、そこから何らかの知的生産を行う意識を持てているかどうかです。
こういった基本の姿勢が最も大切な部分になってきます。
◆「抽象化」は人間に与えられた最強の武器
この抽象化こそが前田さんのメモ術の根幹です。
もっと言うと、人間に与えられた最も重要な思考機能であり、最大の武器であると確信をもって断言しています。
「抽象化」とは端的に言うと「具体的な事象の本質を考える」ことです。
成功事例の本質がわかっていれば、あらゆる他のことに応用できるようになります。
「世の中でうまくいっているもの」や「自分が素直にいいと感じるもの」を見たときに、素通りせずに、キャッチして抽象化してみてください。
「わかんないけど、このお店すごく居心地よかったな」という感想で、だいたい終わるわけですが、その本質的要素をいくつか書き出して、抽象化しておく。
すると、今度は居心地のいい別のコミュニティーを自分が上手く応用できるのです。
本質さえ正しければ、そこがリアルでも、ネットでも関係なく応用できます。
「本質をみる」という抽象化思考さえできれば、目指す目標を達成する能力が著しく向上します。
前田さんにとって、メモとは生き方そのものです。
メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。
メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。
メモによって夢を持ち、熱が生まれる。
この熱は確実に自らを動かし、人を動かし、そして人生を世界を大きく動かします。
少し難しいなと思うかもしれませんが、まずはできることから始めてみましょう。
メモの魔力で自分の変化に気づけるはずです。