今週の一冊:そろそろお酒やめようかな
- 2021年07月20日
- カテゴリー:本の紹介
ご紹介する本は「そろそろお酒やめようかな」です。
著者は東京アルコール医療総合センター・センター長垣渕洋一さんです。
私たちの周りで、当たり前となっている「お酒」
大昔から文化としてあるお酒はそもそも何なのか?
どうして体に悪いのか?
なぜやめるべきなのか?
その答えが科学的根拠に基づいて書かれている本になっています。
皆さんは「お酒をやめた自分を想像してみる」ことができるでしょうか?
「お酒がない生活なんてありえない!」
「お酒があるから飯はうまいし、飲み会だって楽しいんだ!」
と思う方もいれば、
「健康診断の結果がよくないからお酒の量を減らさないと」
と様々な考えがあると思います。
中には「酒は百薬の長だから飲んでも大丈夫だよー」と言い返してくる人がいるかもしれません。
しかし、本書では「少量の飲酒なら体にいいのでは?と思っているのなら、それは直ちに見直したほうがいい考え方の一つです」とはっきり語っています。
なぜなら、飲酒に「精神的な効用はあっても、身体的な健康効果は全くない」ことが分かっているからです。
では何故、お酒は体に良いと伝わっているのでしょうか?
それは、遥昔、西暦8年から20年ごろに中国を支配していた「王莽」という皇帝が発したものでした。
この皇帝は、財源として酒税をつくり、お酒の消費を促すために言われたものなのです。
つまり、「お酒が体にいいもの」と長い間語り継がれていますが、もともと根拠が全くないただの「キャッチコピー」だったのです。
では、お酒とは何か?
食品であったり飲料品、趣向品だと思いますが、実はそうではなく、お酒とはアルコールであり、アルコールとは「薬物」なのです。
テレビでも取り上げられる違法ドラッグなどと同じ「薬物」だったのです。
「いやでも合法じゃん、国が認めてるから依存性も比べるとたいしたことないんでしょ?」と思うかもしれません。
しかし、薬物による依存性の強さを調べるために「比率累進実験」という、依存症になった動物が装置のレバーを押すと、自分に薬物が投与される仕組みを使った実験をしたそうです。
その装置は、最初はレバーを100回押すと薬物が投与されるのですが、レバーをたくさん押していくうちに、どんどん回数が増えていくものになっており、覚せい剤、コカイン、アルコールの3種類で、実験した結果、最もレバーが押されたのは「コカイン>アルコール>覚せい剤」の順で、なんと、覚せい剤よりも依存性が高いことが証明されたのです!
そして皆さんお気づきかもしれませんが、合法か違法かの基準は依存性、そしてヤバさの具合ではないのです!
しかも、あのWHO(世界保健機構)も「アルコールは健康障害で最大のリスク要因の1つです」と警告するほど、アルコールは危険なものだと発信しています。
お酒を飲むことで体に何が起きるのか?
①睡眠の質の低下
お酒を飲むと夜中に目を覚ましたり、トイレに行ったりすると思います。
なぜそうなるかというと、アルコールを分解するときに生成される「アセトアルデヒト」とアルコールの利尿作用が関係してきます。
アセトアルデヒトには、興奮作用があり交感神経に刺激することで覚醒状態にします。
それにより夜寝ているときに、強制的に興奮させられ、目が覚めてしまうのです。
次に利尿作用ですが、アルコールには抗利尿ホルモンの分泌を抑制する働きがあるため、お酒を飲むことでトイレの回数が増えます。
これらの作用により、夜に何回も起きては寝てを繰り返し、寝たいのによく眠れない状態をつくってしまいます。
このように、飲酒によって快眠の大きな妨げになるため、体をしっかり休め、回復するためにも禁酒して熟睡できるようにしましょう。
②体重の増加
実はアルコールにもカロリーがあり、なんと60グラムでおよそ430キロカロリーとかなり高いです。
ビールだとおよそ1.5リットル、日本酒で3合(一杯180ミリリットル)焼酎1.8合(1合110ミリリットル)で430キロカロリーの計算となります。
そしてアルコールが入ることで味覚が鈍くなるので、自然と味が濃いものを食べたくなります。
お酒を飲みながらフライドポテトや唐揚げなどのこってりしたものに加えて、最後の〆にラーメンなどの炭水化物を食べれば、あっという間に1日の所要カロリーを上回ります。
習慣化すれば生活習慣病のリスクも増え、体重が増えてしまいます。
③老化
アルコールを摂取することで体の様々な場所で代謝が起こります。
一番多いのは肝臓ですが、ほかの臓器や筋肉、皮膚にも影響が出てきます。
先ほど睡眠にも出てきたアセトアルデヒトにより様々な臓器や細胞に炎症を起こし、老化を早めます。
炎症とは、簡単に説明すると体の中で起きている火事のようなもので、それを消そうと体は必死に消火活動をしますが、そのため体の掃除ができなくなります。
掃除ができなくなることで老廃物がたまり、それが肌の老化の原因となってしまします。
④重病
ここでもまたアセトアルデヒトが関係してきます。
なんとここまでしておいてさらに、細胞のDNAも傷つけるのです。
細胞が傷付けられることで「癌」の発生率が高まります。
お酒による癌で代表的なものは、食道がんや肝臓癌、大腸がんなどがありますが、ほかにもアルコール依存症、認知症、うつ病、睡眠障害、発達障害、高血圧、不整脈、糖尿病、すい臓がんなど、お酒を飲むことでたくさんのリスクがあります。
今回はお酒の危険性やリスクのついてお話をしてみました。いかがだったでしょうか。
本書にはどんなタイプの人がお酒にはまりやすいのか、自分で依存度のテストができたり、禁酒の仕方など、お酒をやめようかなと考えている人にとって、これでもかというぐらいたくさんのことが書いてありますので、興味がある方、ブログを読んで興味が湧いてきた方は、是非ご一読いただければと思います。