今週の一冊:なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか
- 2021年09月07日
- カテゴリー:本の紹介
今週紹介する本は「なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか」です。
「なぜ、何回も同じことを言っているのにわかってもらえないのだろう?」
こう思ったことがない人を探す方が難しいかもしれません。
「何回も言っているのに」「なんでわからないの?」
そんなことを日々感じている人のために、この本を書いたそうです。
うまくいく人といかない人の最大の違いは「コミュニケーション」にあるという事です。
上手くいかない人の多くは、コミュニケーションが下手な人でした。
一方で、うまくいく人はコミュニケーションスキルが高い人でした。
「コミュニケーションスキルが高い」=「話がうまい、話が面白い」と思われているのですが、これは間違いです。
「話が下手だけどコミュニケーションスキルが高い人」もたくさんいました。
研究の結果から判明したこと、それは「自分の脳と相手の脳が見せる世界が違うという事をしっかりと認識している人」は、コミュニケーションスキルが高いということです。
例えばシマウマのイラストを見て、しま模様は①白地に黒いしま②黒地に白いしま、どちらにみえますか?
実は自分の肌の色をどう認識するかで、地肌が変わるという研究結果がでています。
自分の肌色が白に近いと思っている人は「白地に黒いしま」と答える人が多く、自分の肌色が黒に近いと思っている人は「黒地に白いしま」と答える人が多いそうです。
同じシマウマを見ても、人によって見え方が変わります。
見え方が異なる2人が激論を交わしたところで、いつまでも平行線をたどるだけです。
解決策は1つ。
それは、お互いの見え方を認めることです。
自分が見ている世界と相手が見ている世界が違うことに気づき、尊敬しあえる人がコミュニケーションスキルが高い人なのです。
何がそんなにも私たちの見える世界を違えてしまうのか?
それが「脳のバイアス」です。
脳のバイアスは、遺伝や性別だけでなく、生まれ育った地域、環境、経験によって少しずつ違ってきます。
100人いれば、100通りあるのが脳のバイアスです。
分かり合えたと思っていても、実はお互いがイメージしているもの、考えていることがまったく違う可能性が高いのです。
わかりあえることが難しいからこそ、わかってほしいときは相手の頭の中を想像する。
それは相手への思いやりでもあります。
「分かり合えない」という前提に立つことで、多様なものを認める思考も身に付きます。
私たちの脳の性格は3つのタイプに分かれます。
タイプ1:視覚を優先する視覚タイプ
タイプ2:聴覚を優先する聴覚タイプ
タイプ3:触覚、味覚、嗅覚などを含めた体の感覚を優先する体感覚タイプ
そして、タイプによって印象の残り方も、想起するときもことなる傾向があります。
視覚タイプ:映像が中心になる
聴覚タイプ:映像より音声が中心になる
体感覚タイプ:映像や音声より、肌ざわりや香り、味など、体で感じたことが中心になる
私たちの脳は体の特性によっても違う傾向があります。
- 1.利き手(あくまで傾向です)
右利きは左側にある情報、左利きは右側にある情報を、重視する傾向がある。
- 2.性別
女性は色の識別能力、男性は素早い変化の察知能力が、高い傾向がある。
女性は同時並行処理が得意な傾向がある。
女性は感情と共に、男性は出来事を切り取って記憶する傾向がある。
- 3.日本人と欧米人
目で感情を読む日本人、口で感情を読む欧米人
環境によっても違う傾向があります。
・柔らかいものに座ると心が穏やかになる
・温かいものを持っていると優しくなる
・天気が良い日はポジティブになる
・海や温暖な気候で育つと社交的になる
・どんな場所に住むかで、ドタキャンの定義すら変わる
同じドタキャンでも1日前と言う人もいれば、1時間前という人もいます。
ちなみに沖縄の人は一時間前が一番多かったそうです。
沖縄に限らず温暖な地域の人は、比較的時間に緩いところがあるそうです。
思い込みによっても違う傾向があります。
・意識すると選択的注意が働き、バーダー・マインホフ効果で事実だと思う。
バーダー・マインホフ効果とは認識したとたんに、よく目にするようになる現象です。
・たった一回の出来事で、100%正しいと思う人がいる
・反省しない人はよいことばかりを思い出す世界に生きている
ここで挙げたものたちはあくまで傾向で、自分と相手は同じではないという参考にしてください。
あなたが見ている世界と、あなた以外が見ている世界は違います。
どんなに親しい間柄の人とも違います。
それは、人それぞれ脳のバイアスがかかるからです。
その違いに気づくだけで、人間関係から受けるストレスは格段に減ります。
あなたと、あなた以外の人が見ている世界がどれだけ違うかを知る。
それだけで、あなたのコミュニケーションスキルは劇的に変わります。
この本は新しい視点を与えてくれる1つのきっかけになる本だと思うので、興味のある方はぜひ読んでみてください。