今週の一冊:眠れなくなるほど面白い自律神経の話
- 2022年02月08日
- カテゴリー:本の紹介
今回紹介する本は、順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんが書いた「眠れなくなるほど面白い自律神経の話」です。
「なんとなく気分が沈む」「何をするにも億劫に感じる」「ついイライラして怒りっぽくなる」・・・。
忙しい日々に追われていると、そんな心の不調を感じる場合が数多くあります。
不快な症状を感じるときに、カギを握るのが「自律神経」です。
怒りや緊張といった強いストレスに直面すると自律神経が乱れ、そのシグナルは不快な症状となって私たちの体に伝わります。
「ストレスの多い毎日で体調が優れない」「年齢とともに体力や気力の衰えを感じる」
それらは自律神経の乱れにより引き起こされているのかもしれません。
自律神経は自分の意思でコントロールすることができません。
「心臓を動かして血液を全身へと送る」「呼吸をする」「食べ物を消化し栄養素を吸収する」「暑いときに汗を出し、寒いときに体を震えさせて体温調節をする」これらはすべて自律神経の働きによって制御されているものです。
起きているときも、眠っているときも、私たちの意思に関係なく、体の機能を維持するために自律神経は24時間休みなく働き続けているのです。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」とに分けられます。
私たちの体を車に例えた場合、アクセルの役割をするのが交感神経、ブレーキの役割をするのが副交感神経です。
体にとって正反対の役割を持つ2つの神経が交互に働くことによって、動くべきときには動き、休むべきときには休むという、生き物本来のメリハリある活動が可能になっています。
通常、人間は日中に交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になります。
ところが、不規則な生活習慣、仕事や人間関係のストレスなど様々な原因により、現代人の自律神経のバランスは乱れがちです。
アクセルとブレーキのどちらかが一方が優位になるのではなく、両者のバランスが適切に保たれることで初めて、人間という車は快調に走ることができるのです。
自律神経の乱れは、体や心に様々な辛い症状を引き起こしますが、その主な要因となるのが血液の悪化です。
交感神経が過剰に高まると血管が収縮し、血液の流れが悪くなります。
さらに副交感神経の働きが低下していると血流が改善されず、脳や内臓にまでダメージが及びます。
身体的な不調では、だるさや疲れやすさをはじめ、血の循環が悪くなることによる頭痛や肩こり、内臓機能の低下による便秘や下痢、肌荒れなどがあげられます。
精神的な不調ではイライラしやすくなったり、やる気が低下したり、不眠や過眠といった睡眠の異常が現れることがあります。
これらは「この程度の症状」と軽く見てはいけません。
自律神経の乱れが、やがては恐ろしい病気へと発展してしまうかもしれないのです。
ココロと腸はつながっている
人は緊張したときにお腹が痛くなったり、ストレスが続くと便秘や下痢になったりします。
これは腸と心、つまり自律神経が相互に作用している証拠です。
腸には消化と排泄以外にも重要な役割があります。その一つが血液を作り出す源であることです。
腸内環境が整っていると、血液はさらさらで血流がよくなり自然と自律神経も安定します。
逆に腸内環境が乱れると、血液はドロドロになり血流も悪化。
便秘や肌荒れなどの不調から精神的にもイライラし、自律神経のバランスも崩れていくのです。
自律神経に働きかける3つの基本
自律神経は自分でコントロールできないものですが、直接的なコントロールが無理でも、自律神経のバランスが整うように働きかけることは可能です。
まず見直したいのが生活習慣です。
生活リズムを規則正しくすることにより、自律神経の働きも整ってきます。
運動も効果的です。
緊張や怒りで交感神経が高まっているときは、ストレッチなどの軽い運動をするだけでも血流かよくなり、肩こりなどの不調が改善されます。
メンタルケアも重要です。
過度なストレスがよくないのももちろんですが、全くストレスがない状態も自律神経を乱す原因になります。
適度なストレスうまく付き合い、プラスに利用することで自律神経の安定を図りましょう。
笑顔は自律神経と免疫力の強い味方
辛いとき、苦しいときこそあえて「笑顔」をつくってみましょう。
笑顔が自律神経の乱れを整え、元気を取り戻すきっかけを与えてくれるかもしれません。
作り笑いでもいいので、口角を上げることで顔の筋肉の緊張がほぐれ、血流や神経の流れが改善し、自律神経のバランスが整ってきます。
笑顔には自然と心身をリラックスさせる効果があるのです。
また最近の研究では「笑い」が免疫力アップになることも明らかになってきました。
心と身体を守るため、どんなときも笑顔とユーモアを忘れずにいきましょう。
自律神経は乱れやすいですが、大切なのは乱れないように、乱さないように頑張ることではなく、乱れたときに元に戻せるリカバリー力です。
少しくらい乱れてもそれが続かない限り体にとってそれほど負担にはなりません。
すぐにでもできることも書いてあるので興味のある方はぜひ読んでみてください。