今週の一冊:為末メソッド~自分をコントロールする100の技術~
- 2022年04月12日
- カテゴリー:本の紹介
今回紹介する本は為末大さんが書いた「為末メソッド 自分をコントロールする100の技術」です。
為末さんは元陸上選手です。
「誰かの役に立つ言葉を」
そんな気持ちで今まで、さまざまな言葉を発信し続けてきたそうです。
本を書いたり、メディアに出演したり、講演をしたり、SNSを使ったり、その積み重ねで、頭の中には、書いたり、話したりしてきた「言葉」が溜まりに溜まっています。
だから、この本ではそんな頭の中の「棚卸し」を試してみたそうです。
為末さんの言葉の集大成と言える本の中から、いくつかの言葉を紹介したいと思います。
◇目的さえあきらめなければ、手段は変えてもいい
為末さんがチャレンジし続けてきた「400メートルハードル」という競技。
その本来の目的は「自分の身体を、ゴールまで早く運ぶこと」にあります。
その目的のためにハードルを飛び越える技術を磨きつづけていたはずでした。
ところが、少しずつその「研磨作業」にばかり、こだわるようになっていました。
「ハードルをうまく飛ぼう」と思いつめるあまり、「身体の移動」という本来の目的を見失ってしまったのだ。
「目的」は何なのか。
自分の心の中をきっちりと棚卸して理解しておこう。
そのうえで、「目的」を果たすためにどんな「手段」があるのか考えてみる。
一度選んだ「手段」でも、あまりこだわらず、どんどん変えたっていい。
目的さえあきらめなければ、手段はいくらでも変えていいのです。
◇現状維持は停滞と同じ
自転車に乗っているときのことを想像してみてください。
ペダルを漕がないと、身体が自転車ごと倒れてしまいます。
だから、漕ぐことをやめられません。
この状態が、言うなれば「現状維持」です。
倒れることなく「現状維持」で生きていくために、誰もがペダルを漕ぎ続けています。
「頑張って漕いでいるのだから、いまのままでもいいでしょ」と考える人もいると思います。
でもそれでは、いまよりも速くなることはないし、成長は止まってしまいます。
つまり「現状維持」は「停滞」なのです。
生きていくためにも漕ぐのは当然です。
だから、漕いでいるだけで安心するのはやめにしよう。
そこから一歩抜け出すためにも、そして将来も安全に漕ぎつづけるためにも、変化や成長が必要不可欠だと意識しましょう。
◇苦しいときこそ、種をまけ
いくらがんばっても、現実がなかなか思うようにいかないときが人生に何度かあります。
そんな苦しいときこそ種をまきましょう。
この先、何が起こるかわからないからこそ、将来役に立つかもしれない分野に、ちょっとずつ手を出しておくのです。
特に伝えたいのは、「時間軸を意識してみよう」ということです。
たとえば、10年単位で見るか、1日単位で見るかで、ものの見え方はまったく違ってきます。
明日のことだけ考えたら、元をとれない投資でも、10年経てば何倍にもなって返ってくるかもしれないです。
長い目を持つことができれば、「種をまく」ことの意義もきっと実感できるはずです。
◇「当たり前」のすりあわせは徹底的に
「右」「左」という概念がない言語圏があるという話を聞き、おどろいたことがあります。
きっと「左右」の概念がないだけで、僕たちの「当たり前」とはまったく異なる思考回路が、彼らにはあるのではないでしょうか。
人間の「当たり前」という認識は、みんなそれぞれ違っています。
「当たり前などという言葉は当てにならない」ということを、大前提として知っておきましょう。
そして、人それぞれ違うからこそ、「当たり前」は徹底的にすり合わせるようにしましょう。
不明な点を詰めて整理しておくこと。
「当たり前」をすり合わせることで、仕事でもプライベートでも人間関係をもっと円滑にすることができます。
◇人を幸せにするために、まず自分が幸せにある
事件や災害であふれる現代だからこそ、まずは自分自身を幸せにしてみよう。
「自分のことよりも他人のことを大切に考える」という意味で使われる「利他」という言葉があります。
でも、自分を大切にして幸せになり、それがめぐりめぐって他人をも幸せにするのであれば、徹底的に「利己」であってもいいと思う。
べつに、人の不幸せの上にしか、自分の幸せが成り立たないわけではないのです。
人を幸せにするために、まず自分が幸せになろう。
100ある言葉の中で共感できたり、自分とは違う考え方にふれることもできる一冊になっているので、気になる方はぜひ読んでみてください。