今週の一冊:100年後まで残したい日本人のすごい名言
- 2022年07月12日
- カテゴリー:本の紹介
今週ご紹介する本は、「100年後まで残したい日本人のすごい名言」です。
著書は、明治大学文学部教授の斎藤 孝さんです。
皆さんは、名言というとどなたの名言が浮かびますか?
または、自分のマイ名言はありますか?
近年、SNSが普及し、言葉が氾濫する中の「よりどころ」を見つけるのが難しくなってきてしまいました。
それは、SNSによってあふれる言葉が心やエネルギーを消耗させているのです。
現代の日本人は、昔に比べて心が折れやすくなっていると言われます。
全体的には能力は高い、誠実さもある。
けれども、些細に見えるようなことで心をくじき、深く傷つき、自信をなくしてしまう社会人が多いと聞きます。
そんな時、フラフラと動きやすく、折れやすい心に言葉が必要であり、名言の力で、心の砦、支えとして使って欲しいのが本書の趣旨です。
本書では、「100年後まで残したい日本人の名言」というコンセプトのもと、名言を30個厳選し、そして各名言に「名言年齢」を記してあります。
その理由は、日本人の精神を伝える、100年後にも色あせない本質的な内容を持ち、日常の中で引用して使うことができる、実用性の高い名言だからです。
古い言葉や新しい言葉、それぞれの良さを味わってほしい意味から記してあります。
◇心が折れそうなとき
名言年齢403歳 徳川家康
「人の一生は 重荷を負って遠き道を行くが如し いそぐべからず」
徳川家康は、現代の日本に大きな影響を残す江戸時代の開祖となった人物です。
長い戦乱の時代を終わらせ、その後260年以上にわたる長期安定政権の基盤をつくりました。
この言葉は、遺訓として伝えられています。
「人生は、重い荷物を背負って長い道のりを歩き続けるようなものだから、焦らずゆっくりすすみなさい」という意味があるそうです。
果てしなく感じるような遠い道のりを、「早く目的地に着きたい」とばかり考えていたらつらくなる。途中で挫折しない工夫をしなくてはなりません。
家康の言葉は、人生における辛抱、忍耐を説いています。
実際、家康は長い不遇の時代を耐え忍び、焦らず機を熟するのを待って、60歳を過ぎてついに天下統一を果たしました。
頑張っていることの成果がなかなか出ず、心が折れそうだという人も、家康に比べれば「まだまだ」と思えるのではないでしょうか?
◇背中を押してほしいとき
名言年齢89歳 金子いすゞ(童謡詩人)
「みんなちがって、みんないい」
この言葉は、21世紀の日本にとって重要な言葉です。
日本人は、「みんな同じ」が好き。
日本は単一民族だからとよく言われるようですが、これも間違いです。
すべてのものが、そのままで素晴らしい存在なのだと認めると、自分のことも認められるようになるのです。
この言葉は、「わたしと小鳥とすずと」のなかの一説です。
小鳥は飛べるし、鈴はきれいな音を出すことができます。
私には、それができないけれど、私も小鳥や鈴にできないことができるとして、「みんなちがって、みんないい」と締めくくっています。
人間は普通にやっていれば、個性があります。
個性的かどうか気にする必要はなく、当たり前にみんな違うのです。
経理が得意な人は経理をやって、営業が得意な人が営業をする。
それぞれの長所を生かしながらチームをつくるのが本来なのでないでしょうか?
終わりに、名言は、精神文化の結晶です。
言葉と向き合うことで、自分の「マイ名言」を増やすことで、自分なりにいいと思った言葉、今の自分を助けてくれる言葉が「マイ名言」になります。
本が苦手な方は、漫画でもいいと思います。
漫画でも、映画、ドラマを見ていて「これは」と思う言葉に出逢えるはずです。
その時、必ず手帳やノートにメモをすることです。
名言力を高めると、心の支えになり、悩んでいる人の心の支えにもなることでしょう。
おすすめの一冊です。