今週の一冊:我慢して生きるほど人生は長くない
- 2022年12月20日
- カテゴリー:本の紹介
今週の本は心療内科医である鈴木裕介さんが書かれた「我慢して生きるほど人生は長くない」という本を紹介していきます。
ふだん普通に生活しているように見えていても、心の奥に深刻な生きづらさを抱えながら、それを隠してギリギリで生きている人がいます。
自分を追い込みすぎてしまい、生きることで精一杯になってしまう人や、周りとの価値観やちょっとした違いで悩んでしまう人が、少なからずいるかと思います。
この本では、「他人の価値観やルール」「他人の感情」「他人に奪われる時間」を手放し、「自分の価値観やルール」「自分の感情」「自分の感情」を発見し、取り戻すための方法が書かれています。
今回はそのいくつかを紹介していきます。
・「自分と他人の境界線」があいまいだと生きづらくなる
世界は「自分が持って守るべき領域」と「他人が責任を持って守るべき領域」の二つに守ることができます。
例えばあなたの心や身体、生活、人生などは、あなたが責任を持って守るべき領域です。
一方、家族や友人など、どれほど親しい間柄であっても、他人の心や身体、生活、人生などは、その人が責任を持って守るべき領域です。
そこにあなたが必要以上に立ち入ったり、責任やコントロール権を背負い込んだり、奪ったりしてはいけません。
このような自責傾向が強い人は、本来自分が守るべき領域をはるかに超えた範囲を自分の責任だととらえて自分を責め、生きづらさを感じ、逆に他責傾向が強い人は、本来自分が守るべき領域よりもはるかに狭い範囲を自分の責任だととらえて他人を責め、「なぜ、自分ばかりがこんな目に」と生きづらさを感じてしまいます。
自分と他人の境界線をはっきりさせるのは少し難しいかもしれませんが、まずは曖昧になっていそうなところから線引きをしていき、自分の領域というものをはっきりさせられるようにしてみましょう。
・ときには他人を嫌っても、他人の悪口を言ってもいい
自分と他人との間にきちんと境界線を引いたり、ラインオーバーを繰り返す相手を「NO」の棚に分類したりする際、邪魔になってくるのが、「人を嫌いになってはいけない」「人を悪く言ってはいけない」「誰とでも仲良くしなくてはいけない」といった道徳的な考え方です。
人の欠点や至らないところばかり見て、「あの人も嫌い」「この人も嫌い」と思ったり、四六時中、誰かの悪口ばかり言ったりするのがいいわけではありません。
ですが、人間にはいろいろな性格をしている人がいたり、自分とは違った価値観を持っている人が大勢います。
どうしても合わない人を、ときに嫌いになったり、悪口を言いたくなったりするのは、人として当たり前のことなのです。
相手の性格は変えられませんが、かかわる人間関係の割合は自由に変えられます。
自分を尊重しない相手から距離を取り、自分を大事にしてくれる相手をより大切にし、自分にとっての適度な位置を探してみましょう。
・「本当の生きやすさ」は、競争や実力とは関係ないところにある
人間には、もともと闘争本能や承認欲求が備わっています。
ですから、競争させられたり他人から評価されたりすると、たいていの人は「燃える」し、やる気が刺激され、さまざまな技能の習得が早まったりします。
もちろん、中には競争が苦手な人もいますが、そういう人でも、自分のやったことや才能が評価されれば、やはり嬉しいですし、トランプで遊んだり対戦ゲームをやったりするときには、それなりに楽しんだり夢中になったりするのではないでしょうか。
このように競争には「良い」面もありますがデメリットも存在します。
常に競争と評価にさらされていたりすると、人の心には自然と「競争に勝たなければダメ」「トップでなければ価値がない」といった価値観が植えつけられます。
競争に勝ち、高い評価が得られたときには、自尊心や承認欲求、名誉欲などが満たされていますが、世の中には必ず「上には上がいる」し、心身の状態もいい時ばかりとは限らないのです。
競争に負けようが、他人からの評価が低かろうが、その人が存在することそのものの価値とは全く関係ありません。
競争したり、努力して自分を磨くことも大切ですが、そこに捉われすぎて自分の「生きやすさ」というものを見失わないように気をつけましょう。
人生は一度きりです。
生きていく上では他人と競争したり、評価されたり、周りとの価値観の違いからぶつかることもあるかと思います。
その度に我慢していると自分の人生はなかなか豊かになっていきません。
自分の人生を今以上に良くしていくために、ぜひ一度この本を読んでみてください。