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諦める力

こんにちは!当院のブログを閲覧いただきありがとうございます。
GWもあっという間に過ぎ、先行きが見えない状況下の中、皆さんどうお過ごしだったでしょう?

今月も引き続き、本のご紹介をさせていただきます。

今週ご紹介します本はこちら「諦める力」。著者は、為末大さんです。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、エドモントンおよびヘルシンキ世界選手権男子400メートルハードルで銅メダルを獲得。日本記録保持者。陸上トラック種目世界大会で日本人として初のメダル獲得し、シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場した方です。
諦める力

本書は元陸上選手為末さん自身が、勝つために良い意味で諦めること選び、また努力の方向性や夢や目標を叶えるための戦略、成果などがまとめられています。
内容は「諦めるとはどういうことなのか」をテーマに独自の経験や視点で説いています。
「諦める」を辞書で引くと、「仕方がない、見込みがない」とネガティブな意味が書かれています。ですが、「諦める」という言葉の語源にはもう一つの意味があり、仏教での語源は、「明らめる」だということだそうです。
心理や道理を明らかにして、見極めるというポジティブなイメージを持つ言葉だという事。更に漢和辞典では「諦」には「さとり」の意味もあるそうです。「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る」。諦めることは終わりでも、逃げるでもない、というところ踏まえて本書を読んでいただきたいとのことです。

第1章は「諦めたくないから諦めた」から始まります。
当時高校3年生の18歳だった為末さんは、もともと陸上の100メートル走の選手でした。ところが身体が早熟という事もあり、高校生の段階で肉体は完成されていました。100メートルの試合は瞬発力と爆発的なスピードが必要なため、肉離れを繰り返しており、身体のことを考えた顧問の先生から200か400メートルに転向を勧めたそうです。当時の同世代の中でトップクラスにいましたが、だんだんほかの選手に追いつかれ始めていた。自分には100メートルは向いていないのかもしれないと思っていたそうです。100メートルに未練は残っていたけれど、400メートルに転向後試合をした結果日本ジュニア新記録で優勝しました。それから100メートルを走ることなく、400メートルハードルに絞ることになります。これが人生の転機ともいうべき苦しい決断だったそうです。

手段を諦めることと、目的を諦めることの違い
いつしか、400メートルハードルを続けていく中で、次第に「100メートルを諦めたわけでなく、僕には合わなかったんだ」と無理なく思えるようになった。
自分の判断について、ポジティブに考えられるようになったとありました。
「多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的を諦めなければ、手段をかえてもいいのではないだろうか」(本文より)
言い換えると、踏ん張ったら勝てる領域を見つけること。踏ん張って1番になれる可能性のあるところを見つけることだそうです。負け戦はしない、でも戦いはやめない。
勝つことを諦めたくないから、勝てるフィールドを選択できたのだと思います。
そして、自分の置かれた状況と自分の持っている身体と能力を客観的に分析していった結果、400メートルハードルに移って良かったという結論にたどり着きました。
人間には変えられないことの方が多い。だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。それが、戦略だと思っている。最高の戦略は努力が娯楽化することである。簡単に言うと、苦しい努力をするよりも、純粋な楽しさがある努力の方が楽しみながら成長できるのではないか、といいたかったのではと思います。
世の中には、自分の努力次第で手の届く範囲があり、その一方で、どんなに努力しても及ばない、手の届かない範囲があります。努力することで進める方向というのは、自分に見合った方向なのだと書かれています。
例えば、誰かをモデルにして、「あの人のようになりたいと」と思うとします。
その時に気を付けなければならないのは、その人と、自分の出発点がそもそもまったく違うという事です。憧れの存在を持つなとは言いません。
ただ、自分の憧れる存在が本当に自分の延長上にいるかどうかという事を、しっかりと見極めるのは非常に大事なことになってくるからです。
人生は可能性を減らしていく過程でもあり、年齢を重ねるごとに、なれるものやできることが絞り込まれていきます。可能性がなくなっていくと聞くと抵抗感を示す人もいるけれど、何かに秀でるには能力の絞り込みが必要で、どんな可能性もあるという状態は、何も特化できない状態でもあるのだそうです。できないことの数が増えるだけ、できることがより深くなる。競技をしていくうちに、年齢を重ねる可能性が狭まっていくことを嫌でも実感し、感じてきたからこそ、人は何をすべきかを知ることができるのだということです。

一部抜粋しながらご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょう?
個人的な感想としては、諦める力より、見極める力の方がしっくりした感じがしました。
本書は、アスリートをしていた方だけでなく、今現在スポーツをしている方、していた方、スポーツをしたことがない方も含めて、読んでいただけるとおもいました。特に、ビジネスの世界では三十代半ばから四十代前半辺りが、やってもできない葛藤やそれでも続けるためのモチベーションをいかに保っていくか、撤退するかを考えさせられるからです。なので、本書を読んでいただけると賛否両論あるかと思いますが、心がすっきりした、言葉の縛りが解けた方という方も、参考になるのではないでしょうか。ご興味がある方はお手にとってみてください。
なおこの本は本院の本棚に置かせてもらっているので、待ち時間にでもどうぞご覧になってみてください。