日本人と栄養不足の話
- 2019年11月12日
- カテゴリー:栄養素
こんにちは!朝夕の冷え込みも厳しくなってまいりましたが、お障りなくお過ごしでしょうか?
この時期に体調を崩している方が増えておりますので、悪化しないように体調管理は十分に気を付けましょう。
今月のブログは、前回に続き『栄養素』をテーマに、私たちの食や健康の在り方について、週ごとに更新してまいります。
前回は、『必須栄養素』とは何か?という内容でお送りしましたが、皆さん栄養素の役割・何故必要か、ご理解いただけましたでしょうか?
私達の身体は生まれてから死ぬまで栄養を摂ることで、生命維持や健康を維持しています。
日頃から糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取することで、骨や筋肉、脂肪など「からだの構成成分」「エネルギー源」「からだの機能調節」の三つの大きな役割を果たしているのです。
では、今週は『日本の栄養の現状』をお話ししたいと思います。
様々な食べものがいつでも手軽に手に入る時代。これだけ豊富な食材が身の回りにありながら、現代の日本人の食と健康事情は決して良好な状態ではありません。どの世代に共通しているビタミン、ミネラル、カルシウムの不足です。
飽食の時代になっても食生活の問題は解決されず、むしろ飽食の時代だからこそ、日々の食事の栄養バランスの必要性が高まっています。
1.先進国の食の偏り
日本で多くの人が栄養失調となったのは、第二次大戦中や終戦後まもなくのこと。その後は、栄養失調という言葉を耳にすることが少なくなりました。
日本のような先進国では、栄養不足の問題はないように思っている人が多いと思われがちですが、実はそうしたイメージは全くの誤りです。
ここ最近「新型栄養失調」という言葉が飛び交うようになっています。
どんなことが原因で新型栄養失調になってしまうのでしょうか?
2.若い方や高齢者に多い!?新型栄養失調って何?
新型栄養失調は、食事制限のダイエットが原因で必要な栄養素が足りないこと、で引き起ります。摂取している栄養素は足りているのに、ビタミンやミネラルといった栄養素が足りていない状態を新型栄養失調といいます。コンビニで手軽に済ませたり、ファーストフードで済ませてしまう方は、新型栄養失調に陥りやすいのです。
新型栄養失調なのか症状チェックしてみましょう
① 野菜中心の食生活(肉類を食べない)
② 油をあまりとらないようにしている
③ どんぶりやラーメンなどをよく食べる
④ アルコールの量が増えた
⑤ 栄養ドリンクやスポーツドリンクをよく飲む
⑥ 目の乾燥や疲れがある
⑦ 野菜や果物をあまり摂らない
⑧ 冷えがある
⑨ 風邪をひきやすい
⑩ インスタント食品やコンビニ食が多い
⑪ 抜け毛が増えた
⑫ 精力が減退した
これらの項目で☑がついた項目によって、不足している栄養素がわかります。
1に☑した方⇒タンパク質の不足
タンパク質の不足は老化を速めてしまいます。肉、魚、豆類などを積極的に摂取するようにしましょう。
2に☑した方⇒脂質の不足
油を大量に摂取するのはいけませんが、青魚やオリーブオイルなどの良質な油は積極的に摂取しましょう。
3,4,5に☑した方⇒ビタミンB群が不足
ビタミンB群の不足は疲れやすさを引き起こしてしまいます。食べ物をエネルギーに変換する役割を果たしているので、うまく働かないと肥満の原因にもなってしまいます。
レバーやうなぎ、ナッツ類に多く含まれているので、うまく摂取しましょう。
6に☑した方⇒ビタミンAが不足
ビタミンAは緑黄色野菜やレバーに多く含まれます。
7に☑した方⇒ビタミンやミネラル、食物繊維が不足
食物繊維不足は悪玉菌を増やし、下痢や便秘などの原因にもなります。また、イライラしたりといった症状も出てしまうので、野菜を多く摂取するとよいです。
ビタミン、ミネラルは血流の改善などにも役に立つので、健康のためにも積極的に摂取することをお勧めします。
8に☑した方⇒タンパク質や油、鉄不足
タンパク質が不足すると冷えを感じやすくなるので、納豆や青魚、牛乳などを取り入れましょう。
9に☑した方
タンパク質やビタミンA、D、亜鉛を多く摂取しましょう。
10に☑した方⇒カルシウム不足
カルシウム不足は筋肉がスムーズに動かなくなり、脚が攣ったりしやすくなります。小魚やヨーグルトにカルシウムは多く含まれているので、積極的に摂取しましょう。
11.12に☑した方⇒亜鉛不足
亜鉛不足は、切れ毛、抜け毛、爪が弱くなってしまいます。免疫システム、成長などに必要な栄養素です。
牡蠣や海老、カシューナッツなどに多く含まれています。
3.食事バランスと健康維持
では、健康維持に役立つ「バランスのよい食事」とは何でしょうか。目安のひとつが厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」です。
主食、主菜(肉、魚、卵など)、副菜(野菜、キノコ、イモ類など)、牛乳・乳製品、果物をバランスよく食べる。最近では国立がん研究センターなどの疫学調査で、この食事バランスガイドを意識して実践している人たちは、意識していない人たちに比べて、死亡率が低いということが分かりました。
不足を補うため炭水化物だけでなくタンパク質、野菜、フルーツも意識して食べるようにしましょう。主食・主菜・副菜をセットにした定食は理想的です。そうはいっても、このバランスガイドを忠実に実践していくのは難しいです。そんな時にサプリメントを効率よく摂ったりするのも一つの方法です。ヘルシーなレストランに行ってバランスのよい食事をしたり、ビタミン・ミネラル不足を補うために、効率よくサプリメントを取り入れて見るのもよいでしょう。
4.バランスよく栄養をとるためには?
食品
たとえば肉・魚は種類によって含まれるタンパク質や油脂の性質が異なるので、いろいろな肉・魚を食べることが大切です。また、動物性食品と植物性食品もバランスよく食べることが大切です。
調理方法
生、煮る、炒める、などの調理法で栄養素の吸収率が高まったり、反対に失われたりします。いろいろな調理方法の料理を食べ、バランスを摂りましょう。
例えば、クリームシチューは肉類、魚介類、乳製品等からたんぱく質を摂取しやすく、定番野菜のじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、旬野菜のブロッコリー、レンコン、白菜、かぶ、ほうれん草、小松菜、きのこなどからビタミン・ミネラル・食物繊維が摂取しやすいおすすめのメニューです。さらに彩りを基準に入れる食材を選ぶと栄養バランスも整いやすくなります。クリーミーな味付けで苦手な野菜なども食べやすく、一つの鍋で食材を全て煮込み、煮汁ごといただけるため、通常であれば水に溶け出し失われてしまう野菜の栄養素も摂取しやすいメニューです。
食生活を変えることは中々大変ですが、栄養不足によって体の不調だけでなく心の不調も引き起こされることが知られてきています。自分に足りない栄養素を意識して補うことが大切です。
日頃から栄養バランスの良い食事を心掛けて必要な栄養素をしっかり摂取してゆきましょう。