スポーツの秋とケガ~つき指~
- 2019年09月17日
- カテゴリー:痛みの原因と対策
今月はスポーツ外傷です。
今週は代表的な突き指についてお話しします。
突き指と聞くと軽く考えがちですが、
意外と知らない事実もあると思います。
〇突き指とは
日常でよく見られる指の外傷の総称のひとつ。
スポーツで特にボールを使った競技に発生します。
指に対してまっすぐの方向に力が働くと
一番先端の指骨または2番目の指骨に
損傷が生じることがあります。
指の腫れや痛み、動かしにくさなどの
症状がありますが、
放っておけばそのうち治ると
軽く考えられがちです。
しかし、「突き指」には、
骨折や脱臼、腱や靭帯の断裂などが
含まれており、
中にはすぐに手術が必要なこともあります。
早期に正しく診断されないと
適切な治療の時期を逃すこともあります。
ここまでどうでしょう?
突き指が骨折や脱臼、腱の断裂も
含まれている総称だったとは
知らなかった方も多いのではないでしょうか?
ちなみに
外傷の発生件数について
男子は
第1位 10〜12歳
第2位 7〜9歳
第3位 13〜15歳
女子は
第1位 10〜12歳
第2位 40〜49歳
第3位 30〜39歳
外傷の頻度について
男子は
第1位 10〜12歳
第2位 19〜22歳
第3位 13〜15歳
女子は
第1位 40〜49歳
第2位 50〜59歳
第3位 10〜12歳
男子は子供に多いことがわかりますが、
女子は子供はもちろん大人にも
多く発生していることがわかると思います。
スポーツをする子供だけではなく
大人の私たちも外傷の怪我は身近に感じられます。
話がそれましたが突き指に戻ります。
〇突き指だってバカにできない!!!
1.目につく変形はないか
左右を見比べてみて変形や腫れがないか確認する。
腫れがあれば骨折や靭帯損傷の可能性が高く、
レントゲンを撮ることも考えます。
- 2.手指の動きはどうか
運動の状態をみるために、手や指を動かしてみます
まず拳を握らせ、次に指を伸ばし、
できない指があれば個別に調べていく。 -
3.痛みの部位を確認する
痛みが関節部にあれば、
関節内骨折や、靭帯損傷を疑う。
骨折があれば指を伸ばした状態で
指先から押してやると痛みが増加してきます。
★第1関節について
1.マレット指(槌指)
指先に急激な外力が加わると
指を伸ばす働きが障害され
指が曲がったまま伸びなくなります。
治療は骨のずれが少なければシーネ固定します。
2.第1関節脱臼
ボールや空手などで第1関節が
急激に反ってしまった場合に起こります。
一番先端の骨を末梢に引っ張ることで
比較的簡単に整復されますが、
靭帯損傷があり、第2指や第3指などの
よく使う指でぐらつきがあるときは
手術が必要になることがあります。
★第2関節について
1.関節靭帯損傷
突き指に次いで多いけがです。
多くは捻挫程度で湿布などで十分ですが、
靭帯損傷や脱臼であっても
自分自身やコーチが不十分なテーピングを行い、
いつまでも腫脹や痛みが続き、
数週間経ってから医療機関に来ることも多く
難治となることもあります。
2.母指第2関節靭帯損傷
特に親指の付け根の人差し指側は、
適切な治療を受けないと
今後のスポーツ活動に支障を来すことが多く
注意が必要です。
スキーのストックでの外傷で痛めることが多く
スキーヤーズ・サムともいわれることがあります。
親指と人差し指で強く丸が作れない時は
このケガが疑われます。
3.指の骨折
第2指や3指や5指に多く変形したまま
骨がくっついてしまい、
機能障害が残ることもあり、
早期に整復し固定することが大切です。
★よくみられる誤った知識
【誤った知識】 突き指は引っ張って治せ
整形外科では診断後に
骨折や脱臼を整復するために
指を引っ張ることがあります。
しかし、正確な診断を行わないまま
一般の方が整復操作を行うのは
さらに新たな損傷を加えることになり、
極めて危険なことです。
例えば外傷によって
一番先端の関節が腫れて指が伸びないことがあります。
この場合、X線撮影が必要です。
指を伸ばす腱が断裂してる可能性と
先端の骨が折れている場合があるからです。
このようにたかが突き指と判断しないで
専門医へ受診するようにしましょう。
そして、診断がつく前に無理に引っ張ることは
危険ということを是非覚えておいてください。
〇もしケガをしたらどうしたらいい?
応急処置の基本はケガ直後に、
局所を安静にして
冷やして
圧迫を加えて
高く挙げておくことが大切です!
そうすることによって
二次的な損傷、内出血、腫れを
最小限に抑えることができるのです。
この4つの項目は頭文字を並べて
RICEと呼ばれますが、
打撲や捻挫をはじめ全ての「外傷」を
受けた直後の処置として大切なことです。
この時期に温めたり、マッサージは絶対にいけません
〜RICEの方法と注意点〜
1.安静
固定するものとしては、
そえ木、固いダンボールなどで。
上肢では顔を洗うような姿勢で、
下肢は股関節やひざ関節を
やや曲げた状態で固定します。
受傷部位を中心にその上下の関節を
越したところまで固定する。
2.冷却
外傷により組織が腫れてくるので
氷またはアイスパックによる冷却が必要です。
はじめの48時間は持続的に
冷やす必要があります。
凍傷には注意してください。
3.圧迫
腫脹を抑えるため伸縮包帯などを
用いて圧迫しましょう。
強すぎて神経麻痺や循環障害を
生じないように注意しましょう。
4.挙上
静脈血の流れを良くし、
腫脹を少なくするのが目的です。
患部を心臓より高くするのが原則です。
〜治療を受けている間にやっていいこと悪いこと〜
負傷している箇所以外は積極的に
トレーニングしてください。
(負傷している箇所に悪影響があるものはNG)
これは心肺機能や健康な部位の機能低下を
防止するために大切なことです。
負傷している箇所は、
安静を要する期間はしっかり安静を守り、
その期間が過ぎたら指示のもと
段階的に積極的にトレーニングをしてください。
安静を要する期間は、個々の負傷ごとに異なるので
十分相談することが重要です。
最初にお話しした通り
知っているようで知らない事があったと思います。
骨折や脱臼と聞けば重傷に考える方も多いですが、
「ただの突き指か。」と安易に考えず
適切な診断と判断を受ける事が大切です。
9月のこの時期は運動会や体育祭など、
スポーツをする機会が増える時期ですので
是非注意しましょう。
ふなと川接骨院 倉賀野院では
3院の中でも足の捻挫や骨折、突き指などの
固定を得意とする先生がいますので
お困りの際は尋ねてみるのもいいかと思います。